この項目を見ておられる方は、予防に関して関心のある方が多いと思います。

 台湾国家中医薬研究所の所長、蘇奕彰先生のガイドラインが公開されていますので、その記載を基にして予防に関する内容を整理します。

 

⑴ 一般の人に対する予防

 

①健康に問題がなく、コロナウイルスとの接触の機会がないと考えられる場合

 ・3密(密集、密室、密接)を避ける

 ・バランスの良い食事、睡眠、運動、精神的なリラックスを心がける

 ・予防的な処方は必要ない。

 

②慢性的な疾患があり、免疫力の低下が考えられる場合。

③感染リスクが高い場合(職場で不特定多数の人と接触など)

 ・疾患や個人の体質に合わせて体質を調整する処方を考える。

  ⇒ 伝統医学的な体質とおすすめの食材などに関しては、以下のページをご覧ください。

 ・主に急性期に用いられる処方は、長期に大量に内服することは避ける。

  (伝統医学的には、人体を損傷して病気を引き起こしやすくなる可能性があるとされる)

 ・中医病院では、益気固表と辛温発散解毒の作用を持つ処方を推奨する。

 黃耆 11.25g,桂枝 7.5g二錢,甘草7.5g ,生姜11.25g ,紅棗 五枚,荊芥11.25g ,桑葉11.25g
煎じ方:薬剤を鍋に入れ3000mLの水を加え,強火にかけ沸騰したら弱火にし,20分煎じ火を消す。薬液を濾し,お茶代わりに飲用。
効能:益気護衛固表(生体のエネルギーを高め、外からの病気の侵入に対する防御力を益す)

 

(2) 感染リスクが高い人向けの予防処方

 

 医療機関、公共交通機関、公共の場所で働くスタッフ など。感染のリスクが高い人に対しては、以下の処方を推奨する。

 

【 煎じ薬 】
黃耆 18.75g,桂枝 7.5g,甘草7.5g ,生姜18.75g ,紅棗 五枚,荊芥 11.25g,桑葉11.25g ,薄荷11.25g,板藍根11.25g,魚腥草18.75g
・煎じ方:薬剤を鍋に入れ3000mLの水を加え,強火にかけ沸騰したら弱火にして20分煎じ火を消す。薬液を濾し,お茶代わりに飲用。
・効能:益気固表(生体のエネルギーを益し、病気の侵入に対する防御力を高める),宣肺解毒(呼吸機能を健やかにし、病気の害を除く)

【 エキス生薬処方 】

:以下一日量,2包に分け1回6g,一日2回服用。
A. 黄耆末1.5g,荊芥末1.5g,甘草末1.0g,生姜末1.0g,板藍根末2.0g,魚醒草末2.0g,薄荷末1.5g,桑葉末1.5g

 以上を一日の分量として、2回に分けて内服。

 台湾などでは、生薬ごとのエキス製剤を用いて処方を構成することがありますが、現状では、日本では使いにくいです。

B. 荊防敗毒散8.0g,魚醒草末2.0g,板藍根末2.0g

 以上を一日の分量として、2回に分けて内服。

 

 荊芥敗毒散は、明時代の書物『万病回春』を原典とする処方で、体の表面の病気を追い払う薬とされています。原典では、『生姜』も使って煎じて飲むと記載されています。

 日本では、小太郎漢方製薬株式会社のエキス顆粒がありますが、医療保険には収載されていません。

 

 また、荊芥敗毒散は、十味敗毒湯の基になった処方でもあります。十味敗毒湯は、ツムラ・クラシエ・コタローのエキス製剤があり、医療保険にも収載されています。

荊防敗毒散(コタロー)

十味敗毒湯(T社)

ケイガイ  1.6

ケイガイ………1.0

ボウフウ  1.6

ボウフウ………1.5

キョウカツ 1.6

 

ドクカツ  1.6

ドクカツ………1.5

サイコ   1.6

サイコ…………3.0

ハッカ   1.6

 

レンギョウ 1.6

 

キキョウ  1.6

キキョウ………3.0

キコク   1.6

 

センキュウ 1.6

センキュウ……3.0

ゼンコ   1.6

 

キンギンカ 1.6

 

カンゾウ  0.8

カンゾウ………1.0

ブクリョウ1.6

ブクリョウ……3.0

 

ショウキョウ…1.0

 

 次回以降、治療についてまとめます。

 

 

【 参考文献 】

【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割(渡辺賢治ほか)

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14426