コロナと中医・漢方 ~中医治療ガイドラインを読む~ 

 

  中国新型冠状病毒肺炎診療方案第七案の中医治療ガイドライン

【 原文(和訳) 】


新型コロナウイルス肺炎は中医学の「疫」の病の範疇に属し,病因は「疫戻」の気を感受することである。各地では病状,気候の特徴,患者の体質の違いにより以下のガイドラインを参考に辨証論治を行うことができる。中国薬典記載用量を超えるものについては,医師の指導下で使用するものとする。

【 解説 】

・コロナ感染症と中医学

 

 新型コロナウイルスによる肺炎は、中医学的には「疫」の病に分類されます。病因は、「疫戻」の邪気が体を害することです。

 以下にこの文章に関連する用語を説明します。

(1)『疫』に関して

 『温疫論・原病』には、『疫とは、天地の厲気を感じて、(略)、この機が来れば、老若男女を問わず、触れたものは病み、邪は口と鼻から入ってくる』と記載されています。非常に古い文献である『素問・遺篇・刺法論』には、『五疫が発生すれば、人々に伝染し、人であれ子供であれ、病状は同じだ』3)という記載があります。古くから、伝染する病気が知られていたことがうかがえます。

(2)『厲気』とは

 『厲気』は、伝染性の強い病邪で、疫毒・戻気・異気・毒気・乖戻之気などともよばれます。『疫戻』と書いてある書物は手もとの文献にはありませんでしたが、同類と解釈します。

 『邪気』というのは、簡単に言えば、人体の恒常性を害する要素です。

 『厲気』には、以下の特徴があります。

  • 感染力が強く、流行しやすい
  • 発病が急で、重症化しやすい
  • 病状が比較的、似かよっている

 厲気の形成と疫病の流行に関して、以下のような要素が関連します。

  • 気候
  • 環境: 環境の汚染や食品衛生など
  • 予防: 予防や隔離など
  • 社会: 社会制度や社会状態など。

(3)中医における治療の原則

 中医は、個々人の病状や体質、その場の気候など多くの要素に合わせた治療を行うことに特徴があります。

 以下のガイドラインを参考に、弁証論治を行います。

 処方は『中国薬典記載用量』に定められた用量を基本としますが、個々の医師の判断で用量を調整します。

 

 以降、ガイドラインに載せられた治療法を見ながら、解説を加えていきます。

 

【 参考文献 】

1)【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割(渡辺賢治ほか)

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14426

2)李其忠編著.中医基础理论纵横解析 人民卫生出版社 2007年 350-353

3)石田秀実/松村巧訳.現代語訳・黄帝内経素問.東洋学術出版社.2000年第4刷.563

4)中医基礎理論日本人留学生専科教材.上海中医薬大学中国伝統医学教育センター