コロナと中医・漢方 ~風邪の予防対策、コロナ対策の参考として~

 

 コロナ感染症に対する中国のガイドラインを呼んで解説する形で記事を書き進めてきましたが、これだけで良いのだろうかという疑問がわいてきました。

 中国のガイドラインは良くできているとは思いますが、コンパクトにまとめているために、背景に対する説明がかなり不足していると感じます。

 しっかりした対策をとるためにも、ガイドラインの背景となっている考え方や現代医学の感染症対策をまとめて、それから具体的な方法に落とし込んでいかなければならいのではないか?その中で、伝統医学がすべきことが自ずと見えてくるのではないか?そう感じています。

 これから、具体的な治療と対策に関して、現代科学のデータにも触れつつまとめていきます。

 

 

 今回問題になっている新型コロナが属するコロナウイルスは、風邪の症状を引き起こすウイルスの一種で、風邪の10~15%に関連しているといわれる比較的ありふれたものです。

 今回は、一般的な感染症の対策、風邪の対策をまとめました。

 

 一般的に、感染症①感染源、②感染経路、③感受性を持つヒト、この3要素に分けて考えると整理しやすくなります。

 いかに、各々の要素と、それに関連する対策/科学的なデータをまとめてみました。

 

Ⅰ 感染源

 細菌やウイルス等を持つ物やヒト

【対策】感染源を早期に発見し増やさない対策

 (発病者の早期発見と治療、定期的な清掃による清潔保持、適切な消毒 等)

 

 風邪のウイルスは大勢の人が手を触れるものの表面に付着しやすく、場合によっては長く感染する力を持ち続けます。児童公園の遊具/フィットネスセンターの人が手を触れる物体表面/バスなどのの手すりやひじ掛け(ガーバ)/現金など、これらの消毒や触った後の手洗いなどが有効です。

 

 ハーリー・ロットバートが、『子供から風邪をうつされやすい両親のために』を提唱しています。学校の再開に対して不安を持つ方は、参考になることがあるかもしれません。現在、アルコールの入手が困難になっていますので、できる範囲での対策を!

  • 家庭の各部屋の扉の外にアルコール手指衝動苦役のボトルを置き、部屋に出入りするたびに使う
  • 子供が風邪をひいたら家庭内隔離。衣類や寝具を他の家族のものと別に選択し、子供部屋の物体表面をアルコールで消毒する。

 

 

Ⅱ 感染経路

 

 細菌やウイルスなどを体内に運ぶ経路。(手を介す接触 感染、咳を介す飛沫感染など)

 

【対策】拡げない、持ち出さない (手洗い、患者の血液・便・おう吐物等に触れない)

 

・手洗い:軍隊において、1日最低5回の手洗いで、呼吸器系疾患で医師にかかる新兵が半減した。(オペレーション・ストップ・カフ)

・アルコールの手指消毒は多くの場合で有効。濃度に注意が必要。手洗いとの併用も。

 

Ⅲ 感受性のあるヒト

 

 感染を受ける可能性のあるヒト (特に高齢者・こどもや持病・基礎疾患のある者)

 

【対策】 個人の対応

 抵抗力をつけるためには健康の保持・増進、予防接種や手洗い等

 中医・漢方における養生などもこの部分に属すると考えています。

 

・体質:現代医学的にも、風邪をひきやすい体質要因がある。宿主要因が極めて重要で、全体の40~60%を占めるとする説がある(トーマス・ポール)

 中医でも体質と感染の間の重要性が指摘されており、特に気虚/陽虚/陰虚/痰湿/湿熱などの体質が重視されている。中医での体質に興味のある方は、こちらをどうぞ。

体質と養生

https://shizuka-cl.com/herbal/constitution/

・十分な睡眠

 睡眠時間と感冒には関係がある。全体の睡眠時間の2~8%の低下で、風邪の罹患率が5倍になった。炎症誘発物質がカギとなると思われる。(シェルドン・コーエン)

・禁煙

・運動

 定期的に運動(30~60分/日の有酸素運動)する人は、風邪をひきづらく、引いても症状が出る期間が短い。運動のし過ぎは感染率を増やす可能性がある。

・適度な飲酒、または禁酒

・対人関係

 対人関係が少ない人は、風邪をひきやすい(対人関係が1~3種の人は、6種類以上の人に対して4倍以上風邪をひく)

・ストレス

運動の低下・食欲の減退・睡眠時間の低下などと組み合わさり、悪影響を及ぼすと考えられる。シェルドン・コーエンやデイヴィッド・ティレルらの研究によれば、ストレス指標の高かったグループは47%がウイルス摂取により感冒にかかり、ストレスの低いグループは27%であった。また、ストレスが高いほど症状が重くなった。特に慢性的なストレスの影響かある人は、そうでない人の2~3倍の確率で風邪をひく。

・ポジティブな情動スタイル

 熱意・自負心・楽観性・幸福度人生の達成感を持つ人は、内向的な人より風邪をひかない

 

 世間で風邪の対策がいろいろと言われていますが、以下に現時点までに分かっている科学的なデータを挙げます。参考文献がやや古い場合もありますので、最新のデータに関してはご自身でお調べください。

 

 世間ではいろいろな風に関するウワサがあります。

 科学的データを集めてみました。

・感冒と寒さは関係ない

・疲労と風邪には特に関係はないらしい(ジャック・グワルトニー・ジュニア)

 

【 ビタミンやサプリメント 】

・ビタミンやハーブなどのサプリメントで風邪を予防できるというエビデンスは乏しい。

  • ビタミンC:評価は一定していない。マラソン選手など身体活動が非常に高い場合には有効か?
  • ビタミンD:現状では積極的に推奨できない
  • ビタミンE:有効との結果もあるが、高容量で全体死亡率が増加する。予防のための内服は推奨できない。
  • マルチビタミン:明確なデータに乏しい。
  • 亜鉛: 小児において学校への欠席日数を減らすとの報告があるが、副作用もあり一般に推奨できない。

鉄欠乏性貧血のある小児で発生数と罹患期間を減らすとのデータがあるが、他の対象に応用できるかは不祥。

  • ハーブ:有効との報告もあるが、最終的な評価は決まっていない。
  • マスク

 自分が感染した場合には他人への感染を減少させる可能性あり。また、口や鼻を触れなくなることで予防効果があることが考えられる。予防に対する科学データは乏しい。

  • うがい

20mlを3回/日で予防効果ありとの報告がある。水うがいを1日複数回程度が合理的か。

 

・風邪の病原体を避けるには、手を洗い顔を触らなければよい(エレイン・ラーソン)

 

【 参考文献 】

  • ジェニファー・アッカーマン.鍛原多恵子訳.風の科学もっとも身近な病の生態.早川書房.2018年二刷
  • 川畑雅照編.いつもの診療を見直す!風邪診療パーフェクト.羊土社.2012年
  • 「普通のかぜ」をきちんと診る.Gノート.1 No.4 2014
  • 東京都福祉保健局.学校等における感染症予防チェックリスト.

http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/assets/diseases/gastro/pdf-file/school-check-list.pdf

  • 杨进主编 全国高等中医药院研究生规划教材温病学理论与实践 人民卫生出版社 北京 2009年第1版

【注】  

 使用しているデータとして、古いものがあります。最新の研究結果に関しては、ご自身でお調べください。

 この項目は、風邪の一般的な対策についてまとめています。新型コロナに対する最新の研究結果に関しては、ご自身でお調べください。