中医では感染症の治療に加えて、体質を改善して感染症にかかりにくい体を作ることを重視します。

 今回は、『陽虚タイプ』の養生をまとめました。

 

・『陽虚』とは

 冷え性は、『陽虚』として扱われることが多い症状です。

 中医学や漢方では、大きく陰と陽に分けて人体の状態を把握します。

 は、日向のイメージです。動的・温かい・エネルギッシュ・日中、そんな性質です。

 は、日陰のイメージです。静的、冷たい、おとなしい、夜、そんな性質です。

 『陽虚』とは、『陽(温かさ)』が『虚(不足)』している状態です。

 

  まずは、中華中医薬学会の陽虚のスコア表をご覧ください。

 

 

   スコア合計    ≧18点 陽虚

           17、18点 傾向あり

           ≦15点 ちがう

 

  いかがでしたか?

 

・『陽虚』の特徴

 顔色が悪く、寒がりで温まることを好む。冷えることを嫌い、温まることを好む。

 手足がだるい、唇の色が白い、舌がポッチャリしている、汗をかきやすい、

 尿が薄い、便が水っぽい

 男性:性欲の減退や頻尿、 女性:下痢や腹痛が多い

 

・『陽虚』の原因

 生まれつきの体質と遺伝に加え、生まれてからの生活習慣や加齢の影響も大きい。

 薬物の影響では、抗生剤・利尿薬・清熱解毒の中医薬の長期の服用などが影響するとされる。

 徹夜や夜更かしが続くと、人体の様を傷つけて陽虚になりやすい。

 

・陽虚の養生

 体を冷やす性質の食材を避け、味の濃いものや消化しにくいものを避ける。

 

・おススメの生活

 南向きの家、体を冷やさない。料理は、煮たり蒸したりするのがおススメ。

 運動では、夏に太極拳や散歩などを始めて人体の陽気を高める。

・おススメの食材

 牛肉、羊肉、鶏肉、ムール貝、ニラ、レイシ、竜眼、クルミ、黒豆 など

・オススメでない食材

 豚肉、豆腐、冬瓜、ナス、空心菜、バナナ、はちみつ、苦瓜、セロリ など

 便秘のある方は、ハスの実、川エビ など

 下痢しやすい方: 白きくらげ、ナマコ、海エビ など

 

 以下、おススメの食材の中から、羊肉とクルミについて詳しく述べます。

羊肉

 日本ではあまり食べませんが、中国では非常にメジャーな食材です。

 中医学では、羊肉は、味は甘、しつこくなく、温める作用がありますが乾燥させず、

 五臓の中では特に腎を補い、陽を増す作用があります。

 総じて、寒さを取り除き、気・血を補い、胃腸を元気にします。

 日本だと、北海道のジンギスカン料理が有名ですが、寒い北海道で羊を食べるのは、中医的に意義がある!かも。

 

 私は、中国留学時代に、新疆ウイグルや内モンゴルを旅行した時に、羊肉をたくさん食べました。

 羊肉の味は、羊の種類・食べさせる牧草・調理法で大きく変わります。中国の知人によれば、新疆ウイグルの頭の黒い羊が特に美味しいンだそうです。

 

クルミ

 中医学では、クルミは味は甘く、体を温めます。そのままでも、薬に混ぜても、OK!

 中医では、五臓である腎を補い、気と血を増し、咳を止め、便通を良くするとされます。

 加齢などによる腰痛や息切れ、病後の体力回復や便秘に有効です。

 西洋医学では、クルミに含まれる油分は、コレステロールの上昇を抑え、小腸から油脂が吸収されるのを抑える働きがあるそうです。

 高血圧や動脈硬化のある人には、おすすめの食材です。疲れた時にも、おススメです。

 逆に、下痢気味の時には、要注意です。

 体質的には、痰湿や陰虚の人も、食べ過ぎには注意です。また、お酒と一緒もNGとされます。