『五月病』=『ウツウツ型』??
五月病は、漢方的には、『ウツウツ型(気うつ)』+『ヨワヨワ型(気虚)』
そんな内容で、話を進めてきました。
漢方では、『心身一元論』の要素が強く、精神と身体を特に分けて考えません。
そして、『気』は、精神と肉体の双方に大きく影響します。
漢方では、『気』は、①生命エネルギー(元気)、②感情(気持ち)、③ガス(気体)の3要素に分けて考えると、イメージしやすいとされます。
『気』は体内をめぐるもので、スムーズにめぐっていれば健康です。逆に、めぐりが悪いと病気です。
めぐりが悪い場合は、①気うつ型(『気』はあるけど、めぐらない)、②気虚型(『気』がないので、めぐらない)の二つに大きく分類でき、両方が混在することも多いです。
独断と偏見ですが、五月病などの『疲れ』には、気うつ型と気虚型があり、多くの場合は両者が様々な比率で混ざっていると感じています。
前回の表に準じて整理すれば、
| 気うつ型 | 気虚型 |
主な障害 | 『気』があるけど、めぐらない | 『気』がないので、めぐらない |
持続期間 | 急性~慢性 | 急性(消費が多い) 慢性(体が弱い) |
症状の日内変動 | 午前中に増悪 | 午後から増悪 |
睡眠/休養の効果 | 改善が弱い または増悪 | 症状は改善 |
運動の影響 | 症状が改善 | 症状が増悪 |
経過 | 変動しやすい | 進行性 |
ストレスとの関係 | 発症に関連することが多い | 打たれ弱い |
外見 | 不安様/抑うつ的 | 弱々しい |
プラセボ効果 | ++ | なし~+ |
既往歴 | 機能的障害/精神疾患 | 器質的疾患 |
ウツウツ型(気うつ)でめぐりが悪い場合は、積極的に『気』をめぐらすことが重要です。
この場合、休んでいると更にめぐりが悪くなります。運動や気分転換が重要で、休息で悪化しやすい傾向があります。
動作量が減る午前中に、症状が増悪する傾向があります。
また、精神的なストレスが大きく関連します。
ヨワヨワ型(気虚)でめぐりが悪い場合は、『気』を補充する必要があります。
消費を減らすために、休息や睡眠が必要です。元々体が弱い場合は、そちらの治療も重要でし、何か基礎的な病気があれば治療が必要です。
『気』の量が少ないので、仕事や生活で消耗するため、午後から症状が増悪する傾向があります。
五月病では、新年のいろいろな変化でストレスが大きく、エネルギーの消耗も激しいため、『ウツウツ型(気うつ)』+『ヨワヨワ型(気虚)』の形で症状が現れやすい。
そう考えると、どちらか一方としてとらえるよりも、シックリくる。
私は、そう感じています。
静養と運動を、どの様にバランスよく取り入れるか?
それが、養生学の基本にして、欠かせないポイントです。
今後、私の研究分野である『がんの漢方治療』に関連してくる内容でもあるため、
五月病にちなんで、気のめぐりに関してまとめてみました。
なんとか、五月中にキリの良いところまで行けた
ε-(;-ω-`A) フゥ…