産婦人科漢方
~月経とお肌のトラブル~
産婦人科系の漢方治療でよく使われる
産婦人科4大漢方薬
まずは、特徴と着目するポイントを表で整理します。
漢方では、『気/血/水』に分類して病態を考えますが、
産婦人科漢方で特に重視されるのは、『血』!
その中でも、月経の状態は非常に大切です。
古典でも、『男女の違いは月経なので、そこに注目するべき』という議論があります。
今回は、月経のお肌のトラブルに関する記事です。
月経の時期に、様々な症状が起こる方がいますが、その中でも、お肌のトラブルは少なくありません。
そんな時にも、婦人科4大処方などの漢方薬はよく用いられます。
月経の際のニキビなどによく使われるのが、桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸にヨクイニン(ハトムギ)を加えた、桂枝茯苓丸加ヨクイニンもよく用います。
化膿の傾向が強ければ、排膿散及湯。
これは、『排膿散』+『および』+『排膿湯』、2つの処方を合わせたものです。
また、ニキビで芯が残る場合には、十味敗毒湯をよく用います。
これは、江戸時代の名医で漢方薬を使った全身麻酔手術に世界で初めて成功した華岡青洲が作った処方です。
また、肌のトラブルを治療するときには、皮膚を診るだけでなく便通を良くすることが重要です。
普段から便秘のある人だけでなく、月経の時期に便通の変化がある人には、その変化に合わせた処方を考えます。
月経の時期に便秘になる人には、4大処方の一つ桃核承気湯。
逆に下痢気味になる人には、当帰建中湯などを処方します。
また、通常の基本処方に生薬・大黄を含む処方を加えて調整することも多いです。大黄は腸の動きを刺激するタイプですので、腹痛には要注意です。
処方の分量は、一日2回程度すっきり出ることを目標に調節します。
漢方的な状態・『証(しょう)』は、女性では月経に合わせて大きく変化することがあります。
その変化に合わせて処方を調整し、お肌の良い状態を保てるか?
漢方医の腕の見せ所です。
ここで述べているのは一般論なので、具体的には、お近くの漢方の分かる医師にご相談ください。