- 夏の養生法 ~クーラー病~
クーラー病は、空調という人工的な環境変化によって引き起こされる症状のことです。
寒がり、疲れ、手足の関節や筋肉が痛む、頭痛、腰痛……、様々な症状が含まれます。
密閉された空間、クーラーによる空気の流れの変化、風量の強弱、日光不足、湿度や温度の変化、様々な変化によって症状が引き起こされます。
漢方では、環境への適応能力は人によって違うと考えます。
また、漢方的な寒熱の程度は、個人によって大きく異なります。
特に女性では、冷えに悩んでいる方が多くみられます。
先輩の漢方医がよく話をしていましたが、
会社などでは、ガッチリした体格でバリバリ仕事をするモーレツ系の社員は、『気』が充実した『熱』のあるタイプで、暑がりで押しも強い傾向があります。そういうタイプは、クーラーをガンガンにきかせたがります。『暑い暑い』とクーラーの設定温度を下げて風力も強くしがちです。
逆に、普段から冷え症な人などは、エネルギーの源である『気』が不足していることが多く、疲れやすくて押しも弱い傾向の方がいます。
そうなると、暑がりの人がクーラーの温度をどんどん下げ、冷え症の人が困ってしまうなんて事になってしまいます。
クーラーの冷えで困っている場合には、
漢方的には、温めるタイプの治療をする場合が多いです。
桂枝(シナモン)や附子が入った薬を使ったり、お灸や針で治療したりします。冷えが強い場合には、貼るカイロをツボのところに貼ったりします。
でも、やっぱり予防が第一です。
①クーラーの設定温度を下げすぎない。
②風に直接当たらないようにする。
③冷気が下にたまりやすいので、子供や赤ちゃんは高めの場所に寝かせる。
④クーラーの効いた部屋にずっといないようにする。
⑤運動やストレッチ
⑥お風呂にゆっくり入る
等が挙げられます。 (注1)
中国語には“悶熱(蒸し暑い)”という言葉がありますが、日本の夏はモロにコレ!
日本の夏、クーラーもうまく使って、元気に乗り切りましょう!
(注1) 大阪府医師会HPより、改変
【参考文献】
李其忠主編.中小学生四季保健.復旦大学出版社
イラストは、“いらすとや”より