夏の冷え症
7月24日、気象庁が『関西地方が梅雨明けしたと思われる』と発表しました。
去年より15日遅いそうです。
今日は、日が照っていて、暑い!
でも、この時期、冷えで悩んでいる方もケッコウいらっしゃいます。
夏は暑いですが、クーラーがガンガンにかかっていたり、冷たいものを飲み食いしたり、意外と冷える要素があります。
今回は、夏の冷えについてまとめてみます。
『冷え症』の問診で、昭和漢方の大家である大塚敬節先生は、『むかし、しもやけをしたことがあるか?』と質問していたそうです。
大塚先生の最後の弟子として有名な松田邦夫先生(私の漢方の最初の師匠の一人でもあります)は、『クーラーが苦手ですか?』と質問すればよいと教えてくださいました。
生活環境が変わってきて、しもやけなどは少なくなっているからだそうです。
夏の冷え症に使う主な処方と、その特徴をまとめます。
クーラー病 | 冷たい飲食の胃腸障害 | 夏バテ | |||
五積散 | 当帰芍薬散 | 人参湯 | 六君子湯 | 補中益気湯 | 清暑益気湯 |
①上半身に熱感、下半身に冷え ②腰が冷えて痛む ③腰や股の痛み ④下腹痛み | ①冷え症 ②むくみ ③女性に多い ④月経のトラブル | ①虚弱体質、疲れやすい ②胃腸の調子が悪い ③胃腸悪く、下痢や胃の痛みなど | ①舌に歯形が残る ②舌の苔が白くて厚い ③食後のお腹のチャポチャポした感じが長く続く ④疲れ易い | ①手足だるい ②声に力なし ③目に勢いがない ④口の中に泡ができ易い ⑤食物の味を感じない ⑥温かいものを好む ⑦臍周囲の動悸あり ⑧脈に力なし | ①夏痩せ ②夏バテ |
クーラー病としての冷えには、五積散や当帰芍薬散をよく使います。
五積散を用いる際の目標は、
①上半身に熱感、下半身に冷え、
②腰が冷えて痛む
③腰や股の痛み
④下腹の痛み などです。
当帰芍薬散を使う際の目標は
①冷え症
②むくみ
③女性に多い
④月経のトラブル などです
冷たい食べ物などで冷える場合には、人参湯や六君子湯を使います。
人参湯を用いる際には、
①虚弱体質、疲れやすい
②胃腸の調子が悪い
③胃腸が悪く、下痢や胃の痛みなどがある。
六君子湯を用いる際の目標は、
①舌に歯形が残る
②舌の苔が白くて厚い
③食後のお腹のチャポチャポした感じが長く続く
④疲れやすい など
夏バテ+冷えの時には、補中益気湯や清暑益気湯を使います。
補中益気湯を用いる際には、
①手足の主だるさ、②声に力がない、③目に勢いがない、④口の中に泡ができやすい
⑤食べ物の味を感じない、⑥温かいものを好む、⑦腹部診察で臍周囲の動悸あり、
⑧脈診で脈に力がない
清暑益気湯を用いる際には、
①夏痩せ、②夏バテ
以上は、各科領域から見た「冷え」と漢方治療に記載された薬ですが、
これら以外にも多くの漢方薬が候補となります。
詳しくは、漢方に詳しい意志にご質問ください。
【参考資料】
各科領域から見た「冷え」と漢方治療