冷えと雪女
~一歩進んだ冷え治療~
前回、『夏の冷えと漢方』をお届けしましたが、これには実は一歩先の治療があります。
前回の項目で候補に挙がっていたのは、エキス製剤。
では、エキス製剤でも冷えが取れない時には??
四逆湯類(四逆湯と、その関連処方)
冷え取り漢方の必殺技 とも言われる処方です。
これは、残念ながら、エキス製剤には入っていません。既存の処方を組み合わせて、附子を追加して、モドキ処方を作ることがあります。
生薬『附子』の調整がキモですが、これに関しては慣れた医師にご相談ください。
また、この四逆湯に関連して、興味深い話があります。
診察をしてバッチリ効くはずの治療をしていても、なかなか症状が取れないことがあります。 その時に、冷えを先に治療することで、病態を快方に向かわせる治療理論を、『潜病』と呼びます。この治療をする場合に、中心となるのが四逆湯類です。
頑固な冷えは、生活習慣などと密接に関係しています。
薄着、生ものや冷たいものが多い食生活、クーラー、水分の取りすぎ、または生まれ持った体質など、多くの要素で頑固な冷えができ、それのために治療効果が上がらない、そんな状態です。
頑固な冷えがこびりついていて、なかなか病態が動かない。潜病理論の提唱者、私の先々代にあたる小倉重成先生は、『雪女が覆いかぶさっているような感じ』と言っておられたと聞いています。
私の漢方の流派は、昭和漢方の巨匠・大塚敬節先生の流派と、千葉古方派です。
小倉重成先生は、千葉古方派の先達にあたります。
千葉古方派は、附子や四逆散を積極的に使って冷えを治療するのを得意とします。大塚流では、附子や四逆散はあまり用いません。
私は、冷えの治療に関しては、千葉古方派の影響を強く受けて、積極的に冷えを加療するタイプの治療をしています。
小倉先生は、1916年の生まれで、1988年に没しています。
30年以上も前から、生活習慣とそれに伴う冷え治療の重要性を提唱されていました。
その慧眼、感服です。
でも、しかしです。
『雪女』っちゅうのは、少々感覚が古い感じがします。
今風に、なにか格好いい呼び方はないモノでしょうか??
ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%AA%E5%A5%B3 より転載