だいたいコイツのせい

  ~漢方用語と杉田玄白~

 

  当ブログでは、漢方関係の用語を使う場合が多くあります。その場合には、漢方用語であることを示すため、『』でくくるように気を付けています。

  特に、漢方や中医で使う『五臓六腑』などは、混乱を招きやすいので要注意です。

  例えば、漢方的な『肝』と現代医学でいうところの『肝臓』は、まったく違うものです。

  『肝』が怒りと関係があるなどと言うと、『現代医学的に、ありえない!』というツッコミを受けることがあります。有名な漢方の先生が、医科大学で『医学的な用語としておかしいから、“肝”などの用語を使わないでくれ』と言われたことなどもあるそうです。

  ・・・、漢方の用語の方が、現代医学よりはるか以前から使われているンですけど、ねェ。

         (´ヘ`;)ウーム…

 

  このあたりの混乱の原因、一人の責任にはできませんが、それでも代表格を一人挙げるとすれば、

  犯人は、お前だ!

  杉田玄白(1733年-1817年)

  江戸時代の蘭学者で、オランダ語の医学書『ターヘルアナトミア』を翻訳して、『解体新書』として出版日本の西洋医学の歴史の中に、大きな足跡を遺した人物です。

  彼が、当時の西洋医学的な解剖学の用語を、漢方の用語で翻訳してしまったために、漢方の考え方と西洋医学的な組織名がゴチャゴチャになり、それが現代まで続いています。

  その後、西洋医学を基本として科学的な現代医学が発達したために、『漢方の考え方は、非科学的だ。解剖学からして、間違っている』ってな話になってしまいました。

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  と言っても、漢方にも、古代の解剖学的な知識がいろいろと入っています

  例えば、前漢を滅ぼした王莽(紀元前45年-紀元23年)は、彼に背いた王孫慶を捕らえて、宮廷医に生きたまま解剖させて記録を残したとされます。その際には、血管のつながりなども、調べられたみたい。

  古代の解剖学を取り入れているために、用語の問題は、更にややこしくなっています。

 

  漢方の用語の問題は、なかなかに複雑で、一人の責任にだけは押し付けがたいですが、

  それでもやはり、杉田玄白は、翻訳の際に新たな用語を作るべきでした。

  医学の歴史に対する貢献も大きいだけに、負の影響も甚大です。

 

  あえて言い切ろう。

  だいたい、コイツのせい!