産婦人科漢方
~更年期障害、加味逍遙散~
前回に続き、産婦人科の漢方治療です。
加味逍遙散
『更年期障害と言えば、コレ!』というぐらい、有名な漢方薬です。
『加味』は、生薬をプラスしているという意味。
元々『逍遥散』という薬があり、それに生薬をプラスしています。
『逍遥』は、[名](スル)気ままにあちこちを歩き回ること。そぞろ歩き。散歩。(注1)
『散』は、散薬。粉薬です。
つまり、『生薬をプラスしてパワーアップ!気ままに動くような症状を治療する散薬』です。
多種多様な症状が出たり消えたりする更年期障害には、ピッタリな処方ですね。
日本産科婦人科学会のHPによれば、更年期障害は主に3つに分類され
①血管の拡張と放熱に関係する症状
ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など
②その他のさまざまな身体症状 めまい、動悸、胸が締め付けられるような感じ、頭痛、肩こり、
腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさなど
③精神症状
気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など
様々な症状が挙げられています。 (注2)
加味逍遙散は、特にホットフラッシュを目安に使われる処方です。
もちろん、その他のいろいろな症状をカバーします。
漢方的では、人体を『気・血・水』に分けて病態を把握しますが、
加味逍遙散は、『気・血・水』にバランスよく働く生薬の組み合わせです。
加味逍遙散は、江戸時代から『婦人一切の申し分に用いてよく効く也』と言われるぐらい、古くからよく用いられている漢方薬です。(注3) 日本で最大の漢方薬メーカー・ツムラ社の『2018年3月期 第3四半期』決算表では、売り上げで第6位の薬でした。
今日もどこかで、悩める方の力になっています。
(注1)https://kotobank.jp/word/%E9%80%8D%E9%81%A5-533557
(注2)http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
(注3)百々漢陰.鳩窓『梧竹楼方函口訣』