漢方と産婦人科

 

 漢方では、歴史的に産婦人科が非常に重視されてきました。

 古くは、秦漢の時代の古文書に、産婦人科に関する記載が遺されています。

 特に、馬王堆で漢時代の墓から出土した文献に『胎産書』という名前のものがあり、胎児の成長や妊娠中の養生法などが記載されているそうです。

 その後も、多くの書籍があったとされますが、残念なことに歴史の中で失われて現代に名前のみ伝わっているものが多くあります。例えば、『傷寒論』で有名な張仲景が著したとされる『療婦人方』という名前の本があったのだそうです。

 時代は下って中国の隋の時代、610年ごろに、巣元方らが皇帝・煬帝の命令で編纂した『諸病源候論』。当時の医学の百科事典的な本ですが、この中には283種類の女性の病気が記載されています。

 

 中国における産婦人科の歴史の中で、忘れてはならないのが薬王という称号で知られる孫思邈(そんしばく)です。

 病弱な少年であった彼は、医学を学び、養生を極めて、一説には140歳という長寿であったとか!

 ちょっと信じがたい話ですが、儒教・道教・仏教にも精通し、名医として広く知られた人物であったことは疑いがありません。 

 孫思邈の代表的な著書・『千金要方』では、全体の中でもトップに掲げられているなど、産婦人科が大きく扱われています。

 内科よりも婦人科と小児科を先に掲載している点から、彼がどれほど重視していたかがうかがえます。

 その後の産婦人科の発展には、仏教の寺院が大きくかかわっていきますが、そのあたりの話は別の機会に。

 

 長い歴史で培われた、漢方の産婦人科。

 現代産婦人科の現場でも、漢方薬は活躍しています。