婦人科漢方
~処方の組み合わせに関して~
先のブログで、『柴胡剤』と『駆お血剤』を組み合わせる。
と言いました。
先の表のとおりだと、柴胡剤8種類×駆お血剤3種類で
8×3の24通りの組み合わせができてしまいます。
(実際には、表以外の駆お血剤も使うと、かなりの数になります)
柴胡剤 | 駆お血剤 | |
強 弱 | 大柴胡湯 四逆散 柴胡加竜骨牡蠣湯 小柴胡湯 柴胡桂枝湯 柴胡桂枝乾姜湯 補中益気湯 (+α加味逍遙散) | 桃核承気湯 桂枝茯苓丸 当帰芍薬散 |
言いっぱなしは不親切かと思いましたので、
表の中からよく使う組み合わせをリストアップしておきます。
湯本求真は、明治時代に、近代医学一辺倒の時代の中で漢方の重要性を主張した近代日本漢方界の代表的な名医です。
湯本の診療録が遺されており、彼が愛用した組み合わせベスト3は、
大柴胡湯+桃核承気湯
小柴胡湯+当帰芍薬散
大柴胡湯+当帰芍薬散 です。
生薬・大黄が含まれている組み合わせでは、下痢や腹痛に注意が必要です。
体力がある、または病勢が強いと判断したら、大柴胡湯+桃核承気湯
体力がない、または病勢が弱いと判断したら、小柴胡湯+当帰芍薬散
で治療したなんて話もあるぐらい、よく使われた組み合わせだったようです。
また、湯本の治療では、通常量よりもかなり多い生薬量での処方例がみられますが、この辺りは自己責任でどうぞ。
院長は、それらにくわえて、補中益気湯+当帰芍薬散、柴胡桂枝乾姜湯+当帰芍薬散をよく使います。最近では、四逆散の使用量が多いと感じていますが、興味深い効き方をする薬です。
柴胡剤の選択には、漢方的な腹部診察が非常に重要です。詳しく話し出すとすごい分量になるので、今回は深入りしません。
診療をしているうちに、得意処方なんかも出てきます。
いろいろと試してみて、自分なりの処方の組み合わせや使用法なんかを探してみるのも良いかもしれません。
ひょっとすると、新たなすごい組み合わせが生まれてくる!カモしれません。
【参考文献】
新谷壽久.皇漢医学・湯本医院の診療録の処方箋.日東医誌.Vol66.No.1.2015.61-66
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/66/1/66_61/_pdf