西洋の宮廷美容術
~伝説の美女ディアーヌの美容法~
ディアーヌは、1566年に66歳でこの世を去りますが、その年齢になっても彼女の顔には一本の皺すらなかったのだそうです。
……、この人、ホントに人間でしょうか?
(; ・`ω・´)
近年、科学的な研究がディアーヌの美容法の一端を解き明かしています。
研究の結果、ディアーヌの遺髪から、通常の500倍もの金が検出されたのです。彼女は王妃ではなく、金の王冠を用いていないため、装飾品から髪にしみ込んだものではありません。
では、その金はどこから来たものなのか?
彼女は、若さを保ち続けるため、「金のエレクシール」と呼ばれた美容薬を服用しており、これには塩化金が含まれていたのです。
実は、なんと、ディアーヌは、慢性的な金中毒であったのです。
金中毒の症状の一つに貧血があり、彼女の白い肌にも一役買っていたのだとか。
しかし、ディアーヌの美容法は、金のエリクシールの内服だけではありません。
彼女の美容法の根幹は、日々の生活。
ディアーヌは、子供のころから厳しい規律を自らに課していたのです。
朝6時に起床し、冷たい水風呂に入り、その後は3時間の乗馬。帰宅後、ベッドで読書し、休息と瞑想をする。
10時ごろに、軽く食事を摂って、その後は社交界での活動。
夕食は、午後6時。
そして、早めの就寝。
この生活をずっと続けられるとしたら、人生のための美ではなく、美のための人生といっても過言ではないかもしれません。
『健康のためには、命などいらない!』なんて冗談がありますが、美容の技術などという範疇を超え、これはもう、求道者と呼ぶ方が相応しいでしょう。
1565年、ディアーヌの死の6ヶ月前に、作家ブラントームが彼女を訪ねています。
その時のディアーヌは、まるで30代であるかのように若く新鮮で美しかったのです。
もはや、東洋でいうところの、仙人クラス。人間離れをしているというしか、ありません。
ブラントームは、その時の様子を以下のように書き残しています。
『私は、死の6ヶ月前に、この婦人に会った。彼女は、今も、たとえ木石のごとき心を持ったものでも感動せずにはいられないくらい、美しかった。その肌はすこぶる白く、何の美顔料も塗っていなかった。(略)その体を鍛え、よき習慣を守り続ける限り。やがて大地がこの美しい体を覆ってしまうのは、何とも残念だ!』
この言葉の中に、フランス史上最高の美女、その美容法の極意が示されています。
倦まず弛まず、美のためにささげられる人生!
日々の生活こそ、究極の美容法!
「それができれば、苦労はしない」そんな声が聞こえてきそうではありますが……。
(;^ω^)
【参考文献】
1.桐生操.フランスを支配した美女‐公妃ディアヌ・ド・ポワチエ.株式会社新書館.東京.1955年新装初版第1刷.
2.桐生操.王妃カトリーヌ・ド・メディチ.福武文庫.東京.1995年第1刷.
3.French king’s mistress poisoned by gold elixir .The Telegraph.
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/france/6865939/French-kings-mistress-poisoned-by-gold-elixir.html
4.ウィキペディア 『金』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91