伝説の鍼灸医・杉山和一
お盆は、実家である高野山に帰っていました。
お墓参りに奥之院に行って歩いていると、ある石碑に目が留まりました。
『管鍼開祖 杉山検校之墓』
あれ、どこかで聞いたことがあるような……、
って、おいおい、日本東洋医学の歴史の中で、超中名な人やないですか!
さっそく、付近のお墓を捜して見つけ出し、お参りに行くべし!
左側が、杉山検校のお墓。
右が、願主である吉田弘道のお墓。
杉山和一は、三重県の出身で、幼いころに伝染病で失明しました。
鍼灸医に弟子入りしますが、破門されてしまいます。
実家に帰る途中、石につまづいて転んだ際、体に何かが刺さりました。
竹の筒と、その中に入っていた松葉でした。
普通の人なら『ツイてない』で終わりですが、……杉山はあることに気がつきます。
松葉が刺さったのに、痛くない!
それは、偶然が生んだ、日本鍼灸を変えてしまう発見でした。
『管鍼(くだばり)』
細い管の中に針を入れて打つと、痛くない!
日本鍼灸の特徴のひとつで、広く使われている方法です。
その後、鍼灸師として大成した杉山和一は、関八州の当道盲人を統括する『惣禄検校』となり、時の将軍・綱吉からも重用されます。
彼は、鍼術講習所である『杉山流鍼治導引稽古所』を開設し、そこから多くの優秀な鍼師が巣立つことになります。
この『杉山流鍼治導引稽古所』は、鍼灸を主としたもので、世界初の視覚障碍者のための教育施設とされています。