阪急神戸線「夙川駅」より徒歩約2分、西宮市羽衣町の「漢方内科・内科しずかクリニック」です。

漢方をより深くご理解いただくために

漢方をより深くご理解いただくために

『気/血/水』分類とブラックボックス

漢方には、独特の考え方や用語があります。これを見て、『とっつきにくい』『難しい』『うさんくさい』『科学的でない』と感じて、漢方に近づかない人残念ながらかなりの数いらっしゃいます。

漢方は、先人たちが真摯に病気と向かい合った足跡です。実際に臨床で用いてみると、いろいろと有用なことがあることを実感できます。

私は、日本の漢方確率の基礎となった千葉古方派、昭和漢方の立役者である大塚敬節先生の系統、また中国で現代中医の土台となった中医基礎理論を各々学んできました。
出来だけ多くの方に漢方に親しんでいただくため、漢方でよく用いられる考え方を整理してお伝えします。イメージしやすさを重視してまとめていますので、大雑把に全体像をつかんで頂ければと思います。

◎漢方とブラックボックス理論 (Black box)

漢方では、特殊な用語や概念が多く、それらが漢方に対する敷居を高くしてしまっています。そんな漢方の全体像をつかむうえで、ブラックボックス理論は一つの手がかりを与えてくれます。

ブラックボックス理論とは、『内部の動作原理や構造を理解していなくても、外部から見た機能や使い方のみを知っていれば十分に得られる結果を利用する事のできる装置や機構の概念』を指します。

生命体の活動の過程と変化などは、内部に複雑な関係があり、その機構を解体して分析することが難しく、あるいは解体後には支障が生じて元来の状態を破壊してしまう可能性があります。このような対象に対して、「ブラックボックス」の方法を用いて探求することは有用な手掛かりとなります。

『ブラックボックス』に対してある種の既知の情報を入力することで、それから出力される各種の情報を得ることができます。そして、入力した情報と出力された情報に関して比較研究を行い、それによって『ブラックボックス』内部のおおよその関係を知ることができ、運動変化の規則を知ることができます。

例えば、『パソコン』の内部を完全に理解することは非常に難しいですが、『このボタンを押せば』『このような反応がある』という情報を基にして、実際に使用することは可能です。
現代医学でも、麻酔薬の作用機序はまだ完全に解き明かされていません。しかし、『この薬をどれだけ使えば』『人体にどの様な反応があるか』という情報が分かれば、内部のおおよその関係を知って臨床の場で活用することは可能です。

漢方も、ブラックボックスの考え方を用いるとイメージしやすくなります。以下にイメージの図を示します。

漢方とブラックボックス理論

漢方では、江戸時代以降、『気/血(けつ)/水(すい)』の要素で人体を理解する考え方が広まりました。今回は、それに基づいて治療法を整理します。

『気/血/水』は、人体を理解するための仮想の概念です。ここで『気とは何か?』などと形而上学的な議論を始めると、話が先に進みません。『人体を理解するための分類法についた名前である』として、話を進めます。

『気/血/水』は『流体』であり、人体をめぐっています。『気/血/水』が滞りなく人体をめぐっている状態が、健康です。逆に、『気/血/水』のめぐりが悪い状態が病気であると言えます。

めぐりが悪い状態には、大きく分けて二つ考えられます。

  • ①量が足りないから、めぐりが悪い
  • ②量があっても、めぐりが悪い

実際には、①と②はお互いに影響しあい、混在している。

不景気をイメージしていただければ、雰囲気をつかみやすいのではないでしょうか。経済学のド素人である院長が、独断と偏見でまとめていますので、その点はご容赦のほどを。

不景気は、社会にお金のめぐりが悪い状態。

  • ①量が足りないから(お金が無いから)、(社会におけるお金の)めぐりが悪い
  • ②量があっても(手元にため込んで使わないから)、(社会におけるお金の)めぐりが悪い

実際には、①と②はお互いに影響しあい、混在している。

いかがでしょうか?イメージできましたか?

『気/血/水』の3要素で、『量がないから、めぐらない』『量があっても、めぐらない』の2種類の異常があります。3要素×2種類の合計6種類が、病態の分類の基礎となります。

つまり、『どの要素』が『どのタイプでめぐらないのか』?それを理解することが、漢方治療の出発点です。まずはそれに基づいて病態を分類したうえで、各々の病態に対する治療法を考えていくわけです。

漢方診断の6大分類

『水』の不足に関して、日本ではあまり重視されていません。日本人の体質や我が国の多湿な気候などが影響していると思われます。陰陽理論では、『気』は『陽』、『血』と『水』は『陰』に分類され、『水の不足』は『陰の不足』の一部と言えます。漢方家によっては、『陰虚』のことを、『陰の不足』ではなくて『陰証』+『虚証』の意味で使っている場合があり注意を要しますので、ここでひとこと言及しました。

また、『気』が『あってもめぐらない』状態は、2つに分類されます。『気』はエネルギーが強く、正常にめぐらない場合に人体の上部に上りやすい性質があります。この状態を、特に『気逆』と呼びます。

漢方では、診断法と治療法は、表裏一体の関係にあります。
治療法として、

  • ・『足りない』に対しては『補う』
  • ・『めぐりが悪い』に対しては『めぐらせる』

この二つが基本となります。

具体的な各項目の診断法と代表的な治療に関しては、機会をみてお話させて頂きます。

漢方とそのベースになった中国伝統医学には、膨大な理論体系があります。『気/血/水』の分類法は、それらの理論の中のひとつであり、これ一つだけで全てを説明するのは難しいというのが実情です。しかし、『膨大な理論体系をすべて理解した後でなければ、診断や治療をしてはいけないのか?』と言えば、そんなことはありません。まずは、『一つの分類法を大まかに理解することから始めて、だんだんと幅を広げていく』、これが多くの臨床家にとって最も手軽で現実的な方法であると考えています。

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